DEATH of ROMANCE
words and music by g.leeds
dreams
behind the surface
heat
upon a throne
hold
the rolling clouds
vacuum
slow the bone
bring
your many days
down forward
before
you wake alone
for
かずかずの夢
表層の背後に
興奮
ある王座の上の
つかめ
巡り行く雲たちを
空虚は
骨組みを遅らせる
もたらすのだ
おまえの数々の日々を
この前方に
おまえがただ独り目覚める
その前に
one more glance
one more glance
one more glance
at the
death of romance

今一度の一瞥を
今一度の一瞥を
今一度の一瞥を
ロマンスの死に
it's a
lovers graveyard
we
will never walk
the same
sweet suffering
comes at dawn
if we only
could remain
it was dark
before we got there
as
we were going
down there
for
それは
恋人たちの墓場
わたし達は
決して歩きはしない
同様には
甘美な苦しみは
夜明けとともにやってくる
もしわたし達がただ
留まりたいだけなのなら
暗かった
わたし達がそこにたどり着く前は
だって
わたし達は行こうとしていた
そこへ
one more chance
one more chance
one more chance
at the death of romance

もう一度のチャンスのために
もう一度のチャンス
もう一度のチャンス
ロマンスの死の
we got the
perfect seat
the kind of
show we love
we watched them
pull the triggers
we heard
the push and shove
danced
among the swordsmen
before their strike
at dawn
we
わたし達は座っていた
申し分のない座席に
その種類の
わたし達の好みのショー
彼らを観ていたんだ
引き金を引くのを
聴いていたんだ
押し合いへし合いを
踊っていた
剣を帯びた兵士達のあいだを
  彼らが剣をふりおろす前の
  夜明けに
わたし達は
danced the dance
danced the dance
danced the dance
it's the
death of romance

ダンスを踊った
ダンスを踊ったんだ
ダンスを踊った
  そう、それは
  ロマンスの死
translated by seven, Apr' 4. 2001
from "NITE FLIGHTS"
the walker brothers
Feb' 1978
produced by
SCOTTE WALKER
DAVE MACRAE
vocals: gary leeds soprano sax: ronnie ross guitar: les davidson
drums: frank gibson bass: mo foster keyboards: scott walker

 '65年アイドル・グループとしてポップス界に登場した the Walker Brothers。 アメリカ出身でありながらイギリスからデビューし、数々の世界ヒットをはなった Scott, John, Gary(皆 Walker という姓を名乗っていたが実の兄弟ではない) の三人グループ。 しか'し67年には Scott Walker(Engel) がソロ活動を優先する為に独立して解散する。 この "DEATH of ROMANCE" はその解散後10年を経'て78年の再結成時のアルバム "NITE FLIGHTS" に収録されている曲である。 ただしアルバムは Scott と John が4曲づつ、そしてこの  Gary Walker(Leeds)が2曲と、それぞれが作った曲をそれぞれが歌うという構成で、どちらかといえばお互いのソロをお互いがサポートしあうという構成のアルバムになっている。 なおこの後 "No Regrets" という曲をイギリスでリリースしているが、それがグループの最後のヒット曲になってしまった。
 さて実は、わたしがこのアルバムで気にいっているのは Gary の  "DEATH of ROMANCE" と  "DEN HAAGUE" の二曲だけである。 Scott の曲はアレンジはいいのだが、'60年代の彼の声を知っている者には、声の衰えがあまりにも悲しい。 またアルバム全体のアレンジは多分 Scott のセンスだと思うのだが、それは John にフィットしているとは思えない。 しかしそれでもこのアルバムを手放せないでいるのは Gary の曲の魅力がわたしをとらえて離さないからに他ならない。
 Gary Walker(Leeds)...  Walker Brothers の中ではあくまで第三の男でしかなかった彼は、その最盛期においても殆ど注目された事はない。 グループ在籍中にも数枚のシングルをリリースしているが、同様にソロ活動をしていた Scott や John の華々しい成功には比べるべくもなかった。 もっとも日本においては『マージービート』という単語に反応する世代のひとなら、GS時代に来日してカーナビーツをバックに日本でリリースした『Cutie Morning Moon(邦題−恋の朝焼け)』という曲を知ってるかもしれない。 また『トゥインキーリー』は日本では結構ヒットしたので知っているひとも多いハズだ。(わたしの記憶ではTV番組でカーナビーツと一緒に演奏していたおぼえも?) またその後 the rain というバンドを結成しているが日本でアルバムがリリースされた以外はイギリスで数枚のシングルがリリースされただけという状態で、結局目立ったヒットもないまま解散してしまう。 (ちなみに the rain には後の Badfinger のオリジナル・メンバー Joey Mollad も在籍していた。また日本だけでリリースされたアルバムはコレクターズアイテムとなっている) 結局過去のアイドル・グループの一員として忘れ去られてしまった Gary Walker ではあるが、しかしだからこそこの "DEATH of ROMANCE" を聞いてみて欲しい。 これは Gary Walker というアーティストと、彼の魅力を一番良く理解している男 Scott Walker の久しぶりの出会いが生んだ、まさに奇跡的な作品に違いない。 埋もれさせておくにはあまりにも美し過ぎる・・・
 ところで上記の対訳では文節が極端に区切られているが、これはジャケットに載せられた表記に従っている。 わたしにはそれが背反するイメージの二重構造のために意図的に区切られているように思える。 『ロマンス』とは恋愛でも物語の意でもあるだろう。 そしてその『死』は終わりでもあり平穏をすら感じさせる。 曲は先ずその黄金時代を浮かび上がらせ、そしてそれを再度見つめてみようと呼びかける。 しかし彼が見ているのはその栄光だけではなく、その『死』でもある・・・ やがて夢は過去に自分が歩んだ道を浮かび上がらせる。 しかしそれを見つめる目は感傷にひたるばかりではなく、その行き先をも見つめている。 もう一度チャンスはあるのだろうか? そう『ロマンスの死』の中に・・・ そして彼は観客として自分自身が演じるショーの中に入り込む。 それはやがて殺戮を控えた死刑囚たちのダンスではないか。 しかし彼らの踊りは続いている。 『死』が、または『平穏』が訪れる夜明けまで・・・
 ’95年に Scott Walker は Tilt というアルバムをリリースしている。 やはり声の衰えは隠せないが、それに代わる魅力を感じさせるアルバムである。 特に音楽性の高さは彼の再評価へとつながっている。 しかし Gary Walker の復活という話は聞かない。 
by seven, Apr' 4. 2001