dreams behind the surface heat upon a throne hold the rolling clouds vacuum slow the bone bring your many days down forward before you wake alone for |
かずかずの夢 表層の背後に 興奮 ある王座の上の つかめ 巡り行く雲たちを 空虚は 骨組みを遅らせる もたらすのだ おまえの数々の日々を この前方に おまえがただ独り目覚める その前に |
one more glance one more glance one more glance at the death of romance |
今一度の一瞥を 今一度の一瞥を 今一度の一瞥を ロマンスの死に |
it's a lovers graveyard we will never walk the same sweet suffering comes at dawn if we only could remain it was dark before we got there as we were going down there for |
それは 恋人たちの墓場 わたし達は 決して歩きはしない 同様には 甘美な苦しみは 夜明けとともにやってくる もしわたし達がただ 留まりたいだけなのなら 暗かった わたし達がそこにたどり着く前は だって わたし達は行こうとしていた そこへ |
one more chance one more chance one more chance at the death of romance |
もう一度のチャンスのために もう一度のチャンス もう一度のチャンス ロマンスの死の |
we got the perfect seat the kind of show we love we watched them pull the triggers we heard the push and shove danced among the swordsmen before their strike at dawn we |
わたし達は座っていた 申し分のない座席に その種類の わたし達の好みのショー 彼らを観ていたんだ 引き金を引くのを 聴いていたんだ 押し合いへし合いを 踊っていた 剣を帯びた兵士達のあいだを 彼らが剣をふりおろす前の 夜明けに わたし達は |
danced the dance danced the dance danced the dance it's the death of romance |
ダンスを踊った ダンスを踊ったんだ ダンスを踊った そう、それは ロマンスの死 |
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from "NITE FLIGHTS" the walker brothers Feb' 1978 produced by SCOTTE WALKER DAVE MACRAE |
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'65年アイドル・グループとしてポップス界に登場した the Walker Brothers。 アメリカ出身でありながらイギリスからデビューし、数々の世界ヒットをはなった Scott, John, Gary(皆 Walker という姓を名乗っていたが実の兄弟ではない) の三人グループ。 しか'し67年には Scott Walker(Engel) がソロ活動を優先する為に独立して解散する。 この "DEATH of ROMANCE" はその解散後10年を経'て78年の再結成時のアルバム "NITE FLIGHTS" に収録されている曲である。 ただしアルバムは Scott と John が4曲づつ、そしてこの Gary Walker(Leeds)が2曲と、それぞれが作った曲をそれぞれが歌うという構成で、どちらかといえばお互いのソロをお互いがサポートしあうという構成のアルバムになっている。 なおこの後 "No Regrets" という曲をイギリスでリリースしているが、それがグループの最後のヒット曲になってしまった。 |
さて実は、わたしがこのアルバムで気にいっているのは Gary の "DEATH of ROMANCE" と "DEN HAAGUE" の二曲だけである。 Scott の曲はアレンジはいいのだが、'60年代の彼の声を知っている者には、声の衰えがあまりにも悲しい。 またアルバム全体のアレンジは多分 Scott のセンスだと思うのだが、それは John にフィットしているとは思えない。 しかしそれでもこのアルバムを手放せないでいるのは Gary の曲の魅力がわたしをとらえて離さないからに他ならない。 |
Gary Walker(Leeds)... Walker Brothers の中ではあくまで第三の男でしかなかった彼は、その最盛期においても殆ど注目された事はない。 グループ在籍中にも数枚のシングルをリリースしているが、同様にソロ活動をしていた Scott や John の華々しい成功には比べるべくもなかった。 もっとも日本においては『マージービート』という単語に反応する世代のひとなら、GS時代に来日してカーナビーツをバックに日本でリリースした『Cutie Morning Moon(邦題−恋の朝焼け)』という曲を知ってるかもしれない。 また『トゥインキーリー』は日本では結構ヒットしたので知っているひとも多いハズだ。(わたしの記憶ではTV番組でカーナビーツと一緒に演奏していたおぼえも?) またその後 the rain というバンドを結成しているが日本でアルバムがリリースされた以外はイギリスで数枚のシングルがリリースされただけという状態で、結局目立ったヒットもないまま解散してしまう。 (ちなみに the rain には後の Badfinger のオリジナル・メンバー Joey Mollad も在籍していた。また日本だけでリリースされたアルバムはコレクターズアイテムとなっている) 結局過去のアイドル・グループの一員として忘れ去られてしまった Gary Walker ではあるが、しかしだからこそこの "DEATH of ROMANCE" を聞いてみて欲しい。 これは Gary Walker というアーティストと、彼の魅力を一番良く理解している男 Scott Walker の久しぶりの出会いが生んだ、まさに奇跡的な作品に違いない。 埋もれさせておくにはあまりにも美し過ぎる・・・ |
ところで上記の対訳では文節が極端に区切られているが、これはジャケットに載せられた表記に従っている。 わたしにはそれが背反するイメージの二重構造のために意図的に区切られているように思える。 『ロマンス』とは恋愛でも物語の意でもあるだろう。 そしてその『死』は終わりでもあり平穏をすら感じさせる。 曲は先ずその黄金時代を浮かび上がらせ、そしてそれを再度見つめてみようと呼びかける。 しかし彼が見ているのはその栄光だけではなく、その『死』でもある・・・ やがて夢は過去に自分が歩んだ道を浮かび上がらせる。 しかしそれを見つめる目は感傷にひたるばかりではなく、その行き先をも見つめている。 もう一度チャンスはあるのだろうか? そう『ロマンスの死』の中に・・・ そして彼は観客として自分自身が演じるショーの中に入り込む。 それはやがて殺戮を控えた死刑囚たちのダンスではないか。 しかし彼らの踊りは続いている。 『死』が、または『平穏』が訪れる夜明けまで・・・ |
’95年に Scott Walker は Tilt というアルバムをリリースしている。 やはり声の衰えは隠せないが、それに代わる魅力を感じさせるアルバムである。 特に音楽性の高さは彼の再評価へとつながっている。 しかし Gary Walker の復活という話は聞かない。 |