| the Spirit of Saint Louis. | |
| わたしの育った故郷の空が、青かった記憶がわたしには無い。 真っ平いらに広がる田園地帯の向こうに、突然壁のように立ちはだかる山脈が三方の視界をさえぎり、それで大陸からの湿った空気がこの地域一帯によどみ、一年中うす雲が空を覆いつくしていた。
海? そう海もあったんだ・・・ 幼い頃には夏に家族で海水浴に行ける浜辺が・・・ でも小学校に入る頃には海岸地帯はすでに硫黄臭の漂う工場地帯となり、浜辺はどこからか流れ着いた薄汚れた海草に占拠されていた。 わたしが育った場所は、そんな小さな平野の真中にある地方都市のかたすみだ。 今でもこの地方で「ここが好きですか?」 って聞けば 「住めば都さ」 って返事がかえってくるだろう。 昔しからの風習しきたりに従って生活する善良な人達の社会。 もしあなたが疑うことが嫌いなら、そこは最高の場所に違いない。 人々は信心深く、礼儀と慎みを知っている。 もし人生の価値観を共有できるなら、きっと彼らのやさしさに接することだろう。 もし満足することができるなら、不足するモノはなにもない。 でも、わたしは・・・ 夜、家族の寝静まった頃・・・ 布団の中で耳を澄ますと、街の北側にある鉄道の駅から夜行列車の出発する音がかすかに聞こえてきたものだ。 わたしは夢をその列車に乗せて・・・ 虚空・・・ 翔べることを疑うな・・・ 翔べることを疑うな・・・ |
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