オバマ米大統領 就任演説全文とその私訳
2009年1月21日


 この就任演説の後、翌日には新聞にその全文と和訳が載り、またTVではその内容についての様々な論評が聞かれました。 しかしどうもしっくりこないのが「大統領選の間ほどにオバマの演説は雄弁ではなかった」という評価が多かった事です。
 正直わたしは当日朝に就任演説の一部をTVのニュースで観ただけです。 そして確かにキラーワード、つまり(例えば Change! Yes, We Can! 等のような)名台詞といえる部分は無かったかもしれません。 しかし米国民の熱狂は確かに彼オバマ大統領の言葉の中にあり、そしてわたしが感じた感動もそうでした。

 「一体この温度差はどこから来たのだろうか?」

 そこでわたしは翌日の新聞の全文と和訳を再度読み直してみたのですが、この和訳にもかなり疑問を感じてしまいました。 勿論英文の和訳には、それを行う翻訳者というフィルターがかかるのは当然です。 しかしもしもそのフィルターがこの歴史的就任演説を正しくは伝えていないとしたら、そしてそれが曲解につながっていたとしたら、それは問題に違いありません。
 幸い全文とその和訳は某新聞社のページに掲載されていました。 ですのでそれをコピーして自分なりに英文とその和訳を結びつけて見ることにしました。 せめてわたしなりに原文を確認してみようと思ったからです。 そしてそこでわかった事は確かにその和訳は英文の各節に忠実に訳されているのは間違いないのですが、しかしわたしには納得できない解釈の部分も多々ある事でした。
 そこで再度わたしはわたしなりの全文の和訳を書いてみることにしました。 以下がその原文とわたしの摂訳です。 翻訳の方針としては、日本語として読みやすくするよりは、元のセンテンスの並びに極力忠実に従い、また読みやすくする為に割愛されていた単語も(読みにくくなる弊害があるにしろ)採用し、なるべく原文のニュアンスを忠実に再現することとしました。 とはいえ翻訳が本業ではないわたしですので、これが完全であるハズもありません。 参考程度にお読みいただければ幸いです。
 またわからないフレーズは元の和訳を参考にしながらも自分なりに解釈してみたつもりです。 ですので解釈の間違いがあれば、それは全てわたしの責任です。

My fellow citizens:
わが同胞の市民のみなさん。

I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors.
わたしは今日ここに、これから課せられる任務に謙虚に立ち向うとともに、あなたがたが捧げてくれた信頼に感謝し、我々の祖先によりなされた犠牲的行為をこころに思い起こしています。
I thank President Bush for his service to our nation, as well as the generosity and cooperation he has shown throughout this transition.
わたしはブッシュ大統領の成したわが国への奉仕とともに、この(政権)移行期間に彼が示してくれた寛容と協力に感謝します。

Forty-four Americans have now taken the presidential oath.
現在までに44人の米国人が大統領としての宣誓を行いました。
The words have been spoken during rising tides of prosperity and the still waters of peace.
その言葉は繁栄の高まりの間に平和の静穏な水とともに語られたものです。
Yet, every so often the oath is taken amidst gathering clouds and raging storms.
しかし、時折その宣誓は立ち込める雲と猛烈な嵐の最中に行われました。
At these moments, America has carried on not simply because of the skill or vision of those in high office, but because We the People have remained faithful to the ideals of our forbearers, and true to our founding documents.
その様な時でも、米国は単に役人の技量やそのビジョンに頼るのではなく、わたし達国民の祖先の理念への信頼を保ちつつ、我々の建国の文書に忠実である事で乗り越えてきました。

So it has been. So it must be with this generation of Americans.
今迄はそうでした。 そして現世代の米国人もそうでなければいけません。

That we are in the midst of crisis is now well understood.
今わたし達が危機の真っ只中に居ることは広く知られています。
Our nation is at war, against a far-reaching network of violence and hatred.
我が国は戦争中であり、憎悪と暴力の遠大なネットワークに対しています。
Our economy is badly weakened, a consequence of greed and irresponsibility on the part of some, but also our collective failure to make hard choices and prepare the nation for a new age.
我々の経済はひどく悪化していますが、それは一部の人々の貪欲さと無責任のせいばかりではなく、困難な選択をして新たな時代へ備えることを怠ったわたしたち自身の過ちでもあります。
Homes have been lost; jobs shed; businesses shuttered.
家は失われ、職は減り、仕事は行き詰ってしまいました。
Our health care is too costly; our schools fail too many; and each day brings further evidence that the ways we use energy strengthen our adversaries and threaten our planet.
我々の医療は余りに高価であり、我々の学校は余りに落第であり、そして我々のエネルギーの使い方が敵対勢力を強化し、わたし達の星を脅かしている事が日々明らかになっています。

These are the indicators of crisis, subject to data and statistics.
これらはデータや統計により導かれた危機の指標です。

Today I say to you that the challenges we face are real.
今日わたし達が直面する挑戦は現実なのです。
They are serious and they are many.
それらは深刻でしかも莫大です。
They will not be met easily or in a short span of time.
それらは短期間で簡単に対処できるものではありません。
But know this, America - they will be met.
しかし米国よ、この事を知っていてください・・・それらは克服されるのです。

On this day, we gather because we have chosen hope over fear, unity of purpose over conflict and discord.
この日我々が集ったのは、我々が恐怖の向こうの希望を、争いや不和の向こうの共通の目的を選択したからです。

On this day, we come to proclaim an end to the petty grievances and false promises, the recriminations and worn out dogmas, that for far too long have strangled our politics.
この日、ひどい不平やウソの約束、非難の応酬や使い古されたドグマ、それらは余りにも永い間わたし達の政府を閉塞させていましたが、わたしたちはその終わりを宣言するためにやって来たのです。

We remain a young nation, but in the words of Scripture, the time has come to set aside childish things.
わたしたちの国家はまだ若いが、しかし聖書の言葉にあるように、こどもじみた事からは離れるべき時が来たのです。
The time has come to reaffirm our enduring spirit; to choose our better history; to carry forward that precious gift, that noble idea, passed on from generation to generation: the God-given promise that all are equal, all are free, and all deserve a chance to pursue their full measure of happiness.
忍耐の精神を再び起こす時が来たのです。 我々のより良い歴史を選択するために、世代から世代へと受け継がれた、誰もが等しく、自由であり、その幸福を希求するためのチャンスがあるという、その貴重な恩恵に向けて進むために。

In reaffirming the greatness of our nation, we understand that greatness is never a given.
我々の国家の偉大さを見直した時、それが決して与えられたものではないことがわかります。
It must be earned.
それは獲得されなければいけないのです。
Our journey has never been one of short-cuts or settling for less.
わたし達の旅には近道も、また消耗を癒す場所も決してないのです。
It has not been the path for the faint-hearted - for those who prefer leisure over work, or seek only the pleasures of riches and fame.
それは弱い心の人たちの道ではなかったのであって − 働くことよりも余暇を好んだり、または名声や富の悦びのみを求める人たちの道でもありませんでした。
Rather, it has been the risk-takers, the doers, the makers of things - some celebrated but more often men and women obscure in their labor, who have carried us up the long, rugged path towards prosperity and freedom.
むしろそれはリスクを恐れぬ者、自ら実行する者、物を作る人たちであったのであり − 一部は著名かもしれないが、その殆どの男性や女性たちはもくもくと彼らの労働にたずさわりながら、我々を繁栄と自由へのこの長いでこぼこの道を導いてきてくれたのです。

For us, they packed up their few worldly possessions and traveled across oceans in search of a new life.
我々の為に、彼らはわずかな財産を手に、新たな人生を探して大洋を渡ったのです。

For us, they toiled in sweatshops and settled the West; endured the lash of the whip and plowed the hard earth.
我々の為に、彼らは低賃金の工場で働き、西部に移住し、ムチ打ちや硬い大地へすきを入れる事に耐えたのです。

For us, they fought and died, in places like Concord and Gettysburg; Normandy and Khe Sahn.
我々の為に、彼らはコンコード(独立戦争)、ゲティズバーグ(南北戦争)、ノルマンディー(第二次世界大戦)そしてケサン(ベトナム戦争)といった場所で闘い、そして死んだのです。

Time and again these men and women struggled and sacrificed and worked till their hands were raw so that we might live a better life.
何度もくりかえしますが、これらの男性や女性はもがきながら、犠牲となり、より良い生活を送れるに違いないと信じて、その手が擦り剥けるまで働き続けたのです。
They saw America as bigger than the sum of our individual ambitions; greater than all the differences of birth or wealth or faction.
彼らはアメリカを、我々個々の野望の総計よりも大きな、そして生まれや財産または党派の違いなどの全てよりも偉大な存在として認識していました。

This is the journey we continue today.
これが今日も我々が続けている旅です。
We remain the most prosperous, powerful nation on Earth.
我々は世界で最も繁栄し強大な国家であり続けます。
Our workers are no less productive than when this crisis began.
我々の労働者はこの危機が始まってからも尚まだ生産的です。
Our minds are no less inventive, our goods and services no less needed than they were last week or last month or last year.
我々のこころはまだ独創的であり、我々の商品やサービスも先週や先月または昨年と同様に必要とされています。
Our capacity remains undiminished.
我々の能力は衰えてはいません。
But our time of standing pat, of protecting narrow interests and putting off unpleasant decisions - that time has surely passed.
しかしやり方を変えずに、限られた利益に固執して、不快な決断は先送りできる時代は確実に過ぎたのです。
Starting today, we must pick ourselves up, dust ourselves off, and begin again the work of remaking America.
今日を始まりとして、我々は自分を奮い立たせ、自分のホコリを払い、米国を再生させる為の仕事に取り掛からねばなりません。

For everywhere we look, there is work to be done.
見渡せばいたるところに、成すべき仕事があります。
The state of the economy calls for action, bold and swift, and we will act - not only to create new jobs, but to lay a new foundation for growth.
経済の現状は行動を、迅速で大胆な、そして実行する意思を − 新たな仕事を作り出すだけではなく、新たな成長の基盤を築くことを要求しています。
We will build the roads and bridges, the electric grids and digital lines that feed our commerce and bind us together.
我々は橋を架け道を築き、我々の商業を養い我々を共につなぐ配電網やデジタル回線を作り上げましょう。
We will restore science to its rightful place, and wield technology's wonders to raise health care's quality and lower its cost.
我々は科学を正当に評価しなおし、そして医療の質とそのコストの削減の為に技術の驚異を駆使するのです。
We will harness the sun and the winds and the soil to fuel our cars and run our factories.
我々は太陽光や風力、そして地熱を動力化して、それを我々の車の燃料とし、またそれで工場を稼動させましょう。
And we will transform our schools and colleges and universities to meet the demands of a new age.
そして我々は学校や単課大や大学を新しい時代の要求に見合うように改革しましょう。
All this we can do. And all this we will do.
これは全て我々が出来る事です。 そして全ては成し遂げられるのです。

Now, there are some who question the scale of our ambitions - who suggest that our system cannot tolerate too many big plans.
さて今我々の野望のスケールに疑問を持つ人々がいますが − 彼らは我々のシステムは余りに大きな計画を許容する事が出来ないと示唆します。
Their memories are short.
彼らは最近の事しか覚えていないのです。
For they have forgotten what this country has already done; what free men and women can achieve when imagination is joined to common purpose, and necessity to courage.
彼らはこの国がすでに成し遂げた事を忘れているのですが、それは自由な男性や女性達によって、想像力と共通の目的が結びつき、必要性と勇気が交わった時に成し遂げれるのです。

What the cynics fail to understand is that the ground has shifted beneath them - that the stale political arguments that have consumed us for so long no longer apply.
皮肉屋はすでに彼らの下で大地が動き始めている事を理解できないで居ますが − 長い間我々を浪費させた陳腐な政治議論はもはや通用しません。
The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works - whether it helps families find jobs at a decent wage, care they can afford, a retirement that is dignified.
今日我々が問うべき問題は、我々の政府があまりに大きいか、または小さいかではなく、それが機能するかであり − それが家族を助け、ちゃんとした賃金の職を見つけ、負担可能な医療システムを、尊厳ある退職後の生活を提供できるかなのです。
Where the answer is yes, we intend to move forward.
その答えがイエスなら、我々は前に進もうではありませんか。
Where the answer is no, programs will end.
答えがノーなら、計画は終わりです。
And those of us who manage the public's dollars will be held to account - to spend wisely, reform bad habits, and do our business in the light of day - because only then can we restore the vital trust between a people and their government.
そして我々の公共のドルを管理する人たちは会計にたずさわるのですが − 賢明に支出し、悪い習慣を改め、そして日の光の下で我々の職務を実行すべきなのですが − ナゼならそれによってのみ人々と政府とのきわめて重大な信頼関係を再生できるからです。

Nor is the question before us whether the market is a force for good or ill.
我々が問うべきは市場の勢いが良いか悪いかではありません。
Its power to generate wealth and expand freedom is unmatched, but this crisis has reminded us that without a watchful eye, the market can spin out of control - and that a nation cannot prosper long when it favors only the prosperous.
富を生み出し自由を拡大する力は無類のものですが、しかしこの危機はわたし達に、絶えず注視していなければマーケットはすぐに制御不能になってしまう事を − そして繁栄だけを望む国家は長く繁栄しないという事を再確認させました。
The success of our economy has always depended not just on the size of our Gross Domestic Product, but on the reach of our prosperity; on our ability to extend opportunity to every willing heart - not out of charity, but because it is the surest route to our common good.
我々の経済の成功は常に国内総生産(GDP)の規模や繁栄の広がりばかりではなく、やる気のある者に機会を与える我々の力量によっているのであり − それは慈善からではなく、それが我々公共の善意に通じるもっとも確実な道だからです。

As for our common defense, we reject as false the choice between our safety and our ideals.
同様に我々の社会の防衛について、我々は安全と理想は二者択一であるという方針はまやかしとして拒絶します。
Our Founding Fathers, faced with perils we can scarcely imagine, drafted a charter to assure the rule of law and the rights of man, a charter expanded by the blood of generations.
我々の建国の父たちは想像できないほどの危険に直面しながらも、人権と法律を保障するための憲章を起草しましたが、その憲章は何世代もの血により拡張されました。
Those ideals still light the world, and we will not give them up for expedience's sake.
これらの理想はまだ世界を照らしていますし、便宜主義の為にこれを諦めたりはしません。
And so to all other peoples and governments who are watching today, from the grandest capitals to the small village where my father was born: know that America is a friend of each nation and every man, woman, and child who seeks a future of peace and dignity, and that we are ready to lead once more.
そしてだからこそ今日という日を見ている世界の全ての人々や政府に、大都市からわたしの父が生まれた小さな村まで、告げよう。 米国は平和ある未来を夢見るそれぞれの国家、すべての男性、女性そして子供たちの友人であり、我々は再度その先頭に立つ用意があると。

Recall that earlier generations faced down fascism and communism not just with missiles and tanks, but with sturdy alliances and enduring convictions.
先の世代がファシズムや共産主義と対決したのはミサイルや戦車によってばかりではなく、不屈の同盟と確固たる信念であった事を思い出してください。
They understood that our power alone cannot protect us, nor does it entitle us to do as we please.
彼らは我々の力だけでは自分を守れないし、その力を自分勝手に行使してはいけない事をわきまえていました。
Instead, they knew that our power grows through its prudent use; our security emanates from the justness of our cause, the force of our example, the tempering qualities of humility and restraint.
むしろ彼らは我々の力が、それを慎重に使う事で増すことを、また我々の安全は我々の正当な理由の公正さ、我々の模範の力強さ、人間性と自制心の鍛えられた質から発せられる事を知っていました。

We are the keepers of this legacy.
我々はこの遺産の守護者です。
Guided by these principles once more, we can meet those new threats that demand even greater effort - even greater cooperation and understanding between nations.
この道義に今一度立ち返り、我々はなおもより大きな努力によりこれらの新たな猛威に立ち向かうことができるのですが − なおも大きな相互理解と国家間の相互理解が必要です。
We will begin to responsibly leave Iraq to its people, and forge a hard-earned peace in Afghanistan.
我々は責任を持ってイラクをその国民に委ね、そしてアフガニスタンでの容易には得られない平和に向けて進みはじめています。
With old friends and former foes, we will work tirelessly to lessen the nuclear threat, and roll back the specter of a warming planet.
古くからの友人やかつての敵とともに、我々は核の猛威の軽減と地球温暖化を食い止めるために働きます。
We will not apologize for our way of life, nor will we waver in its defense, and for those who seek to advance their aims by inducing terror and slaughtering innocents, we say to you now that our spirit is stronger and cannot be broken; you cannot outlast us, and we will defeat you.
我々は我々の生き方を謝罪はしないし、それを守る事に迷ったりもしない、そしてテロを引き起こし無実の人々を虐殺する事でその目的を達成しようともくろむ連中にたいして、我々は断言するが、我々の精神は堅固であり打ち負かされる事はなく、きみらは我々より長続きできないし、そして我々は君らを打ち負かすだろう。

For we know that our patchwork heritage is a strength, not a weakness.
我々は、我々が寄せ集めである事の伝統は、力であり決して弱さではない事を知っているからこそ
We are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus - and non-believers.
我々はキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒 − そして無信仰の人々からなる国家です。
We are shaped by every language and culture, drawn from every end of this Earth;
我々はこの地球のさまざまの地域からやってきたさまざまな言語や文化を持つ人々により形成されていますが
and because we have tasted the bitter swill of civil war and segregation, and emerged from that dark chapter stronger and more united,
そして我々は内戦(南北戦争)や人種差別の苦渋を味わい、その暗い時期から力強くそしてより団結して立ち上がったことがあるからこそ
we cannot help but believe that the old hatreds shall someday pass; that the lines of tribe shall soon dissolve;
我々はこの過去の憎しみはいつの日か過ぎ去るし、民族間の境界はすぐに解決されるに違いないと信ぜずにはいられないのであり
that as the world grows smaller, our common humanity shall reveal itself;
世界が狭くなっているからこそ、我々の共通の人間性はその姿を明らかにせざるをえないのですから
and that America must play its role in ushering in a new era of peace.
だからこそ米国は新たな平和の時代への先導役として、その役を務めなくてはいけないのです。

To the Muslim world, we seek a new way forward, based on mutual interest and mutual respect.
イスラム世界に対して、我々は相互の利益と尊重に基づいた新たな前進への道を希求します。
To those leaders around the globe who seek to sow conflict, or blame their society's ills on the West - know that your people will judge you on what you can build, not what you destroy.
争いの種をまこうと欲し、または自らの社会の病理を西側世界の責任にしようとする指導者達に対して − あなたの国民は、ナニを破壊したかではなく、ナニを築いたかであなたを審査するのだと知りなさい。
To those who cling to power through corruption and deceit and the silencing of dissent, know that you are on the wrong side of history; but that we will extend a hand if you are willing to unclench your fist.
汚職と欺きによる力にしがみつき、その異議を抑圧する者たちに対して、あなたは歴史の誤った側にいるという事を知りなさい・・・しかしもしあなたがその拳を下ろすなら、我々は手を差し伸べるでしょう。

To the people of poor nations, we pledge to work alongside you to make your farms flourish and let clean waters flow; to nourish starved bodies and feed hungry minds.
貧しい国の人々に対して、我々はあなたの田畑がよく実るように、そして清潔な水が流れるようにするために、共に働くことを、そしてそれが飢えた身体に滋養を注ぎ、乏しいこころを癒すことのためになると誓います。
And to those nations like ours that enjoy relative plenty, we say we can no longer afford indifference to suffering outside our borders; nor can we consume the world's resources without regard to effect.
そして我々と同様に相対的に裕福であることを享受している国の人々に対して、我々は自国の国境の外の苦痛に無関心でいること、さらに影響を考慮せずに世界の資源を浪費する事ははもはや許されないのだと訴えます。
For the world has changed, and we must change with it.
世界は変わったのですから、我々それを変えねばいけません。

As we consider the road that unfolds before us, we remember with humble gratitude those brave Americans who, at this very hour, patrol far-off deserts and distant mountains.
我々の前に広がる道を考える時、まさにこの時間にはるか遠くの砂漠や山々でパトロールに従事する勇敢な米国人の皆さんのことを、つつましい感謝とともに我々は思い起こします。
They have something to tell us today, just as the fallen heroes who lie in Arlington whisper through the ages.
彼らは、まさにアーリントン(墓地)に眠りながら、時代を超えてささやきかける英雄たちのように、我々に語りかけています。
We honor them not only because they are guardians of our liberty, but because they embody the spirit of service; a willingness to find meaning in something greater than themselves.
我々は彼らが自由の守護者であるというだけではなく、彼らが奉公の精神を具現しているからこそ、彼らに敬意を表すのです。
And yet, at this moment - a moment that will define a generation - it is precisely this spirit that must inhabit us all.
そしてなお、この時にこそ − この時がこの世代を定義ずけるであろうからこそ − まさにこの精神こそは我々すべてが宿すべきなのです。

For as much as government can do and must do, it is ultimately the faith and determination of the American people upon which this nation relies.
政府は出来ることを行い、やらねばいけない事を行いますが、それと同じほどに、この国がよりどころとするのは結局米国民の信頼と決意なのです。
It is the kindness to take in a stranger when the levees break, the selflessness of workers who would rather cut their hours than see a friend lose their job which sees us through our darkest hours.
それは堤防が決壊した時に見知らぬ人を受け入れる親切な心であり、暗黒の時に友人が職を失う事になるよりも、むしろ自分の働く時間を削る労働者の無私の精神であります。
It is the firefighter's courage to storm a stairway filled with smoke, but also a parent's willingness to nurture a child, that finally decides our fate.
それは煙に包まれた階段を突進する消防士の勇気であり、しかし同様に子供を育てる親の意志であり、それが最終的に我々の運命を決定するのです。

Our challenges may be new.
我々の挑戦は新しいものかもしれません。
The instruments with which we meet them may be new.
我々がそれに立ち向かう手段も新しいものになるかもしれません。
But those values upon which our success depends - hard work and honesty, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism -
しかし我々の成功が依存するそれらの価値 − 勤労と誠実、勇気と公正さ、寛容と知識欲、忠実と愛国心 −
these things are old. These things are true.
それらのものは古くからあります。 それらは真実なのです。
They have been the quiet force of progress throughout our history.
それらは我々の歴史を通じての進歩において静かなけん引力であり続けました。
What is demanded then is a return to these truths.
必要とされるのは、こうした真実に立ち返ることなのです。
What is required of us now is a new era of responsibility -
今わたし達に求められている事は、新たな責任の時代であり −
a recognition, on the part of every American, that we have duties to ourselves, our nation, and the world, duties that we do not grudgingly accept but rather seize gladly, firm in the knowledge that there is nothing so satisfying to the spirit, so defining of our character, than giving our all to a difficult task.
この認識は、全ての米国人のそれぞれにおいて、我々が自分自身の義務において、我々の国家、そして世界、不承不承に受け入れるのではなく、むしろよろこんでこの責務を掴み取り、それ以上にはナニものも精神を満足させえないという知識を固め、それが我々の人格を決定するのであり、そして我々を困難な任務へと向わせるのです。

This is the price and the promise of citizenship.
これこそは市民であることの対価であり、市民として果たすべき約束なのです。

This is the source of our confidence - the knowledge that God calls on us to shape an uncertain destiny.
これこそが我々の信頼の源泉であり − 不確かな運命をはっきりさせる為に神がわたし達に与えた知識なのです。

This is the meaning of our liberty and our creed - why men and women and children of every race and every faith can join in celebration across this magnificent mall, and why a man whose father less than sixty years ago might not have been served at a local restaurant can now stand before you to take a most sacred oath
これこそがわたし達の自由と信念の意味であり − 男性達や女性達、そして全ての人種や宗派の子供達が、この壮大なモールのあちらこちに、祝福の為に参加できた理由であり、 そして60年前には彼の父親が地元のレストランで給仕も知れもらえなかったに違いない男が、今皆さんの前に、最も聖なる誓いをするために立っている理由なのです。

So let us mark this day with remembrance, of who we are and how far we have traveled.
さあこの日を胸にきざもうではありませんか、我々が誰であり、どれ程遠く旅してきたのかを。
In the year of America's birth, in the coldest of months, a small band of patriots huddled by dying campfires on the shores of an icy river.
米国の誕生した年、厳寒の月日の中で、少数の愛国者の一団は凍りついた河岸の消えそうな焚き火のそばで寄り添いました。
The capital was abandoned.
首都は見捨てられました。
The enemy was advancing.
敵は進軍してきました。
The snow was stained with blood.
雪は血で染められていました。
At a moment when the outcome of our revolution was most in doubt, the father of our nation ordered these words be read to the people:
我々の革命の成果が殆ど疑わしかった、まさにその時、我々の国家の父は人々に次の言葉を読むように命じました。

"Let it be told to the future world...that in the depth of winter, when nothing but hope and virtue could survive...that the city and the country, alarmed at one common danger, came forth to meet [it]."
「未来の世界でそれが語られるようにしよう・・・深い冬の最中、なにものもしかし希望と美徳だけが生き残る時・・・ひとつの共通の危機にさらされたこの都市と地方は、それに立ち向かうために手を取り合った」

America.
米国よ!
In the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words.
我々の共通の危機に直面し、この苦難の冬の中、これらの時間を越えた言葉を思い出そうではありませんか。
With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come.
希望と美徳と共に、もう一度凍りつく流れに、そしてどんな嵐が来ようともそれに耐える勇気をもとうではありませんか。
Let it be said by our children's children that when we were tested we refused to let this journey end, that we did not turn back nor did we falter; and with eyes fixed on the horizon and God's grace upon us, we carried forth that great gift of freedom and delivered it safely to future generations.
我々の子供たちの、またその子供達がこう語るようにしましょう、つまり我々が試された時、我々は旅を終える事を拒絶し、振り返りも、ましてくじけることもなく、そして我々の上の神の慈悲を見すえながら、自由という偉大な贈物を手にたずさえて、それを無事に未来の世代に送り届けたのだと。

translated by seven 2009 Jan'25